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就業規則の変更によって労働条件を変更する場合の留意点

就業規則の変更によって労働条件を変更する場合の留意点

1.就業規則による労働契約の変更と合意(労契法9条)

労働契約も他の一般的な契約と同じように、一旦決めた内容を変更するには、一方的な通告では有効とならず、原則として両者の合意が必要です。従って使用者は、労働者の合意を得る事なく、就業規則を一方的に変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできないのが原則である、という事になります。

これは、逆に言えば労働者の合意があれば、就業規則の変更によって、労働条件を不利益変更する事が可能とも言えます。

しかしこの点に関して、「労働者の合意」が本当にあったのかどうかについて、問題となる事があります。個々の労働者と使用者との間には、実際には大きな交渉力の差があるのが通常であり、本当は労働者は同意したく無かったのに、同意しなければ解雇や人事異動などのより不利益な状況に置かれる可能性を恐れ、やむにやまれず同意せざるを得ない事もあり得ます。

そのため、裁判で争いとなった場合には、不利益な労働条件への変更に対して労働者の真の合意があったかどうかの認定は慎重になされる点に注意が必要です。

従って、就業規則の不利益変更の際に労働者の個別の合意を得る際には、会社の経営状況の悪化など変更の必要性が高く、また労働者が変更内容を十分理解できるような説明を丁寧に行い、激変緩和措置や代替措置なども可能な範囲で行いながら、労働者の納得を得るように丁寧かつ慎重に行う必要があると言えます。この点は、特に重要な労働条件と言える賃金や退職金に関する不利益変更において、注意が必要と言えます。※

※山梨県民信用組合事件(最判平成28.2.19)では、「使用者が提示した労働条件の変更が賃金や退職金に関するものである場合には、当該変更を受け入れる旨の労働者の行為があるとしても、労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており、自らの意思決定の基礎となる情報を収集する能力にも限界があることに照らせば、当該行為をもって直ちに労働者の同意があったものとみるのは相当ではなく、当該変更に対する労働者の同意の有無についての判断は慎重にされるべきである」と判示された。

2.就業規則による労働条件の一方的変更(労契法10条)

就業規則の不利益変更を労働者の同意無く一方的に行った場合はどのようになるでしょうか。

この点、労働契約法では、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする(労契法10条本文)」とされており、周知要件、合理性の要件をクリアすれば、有効とされています。

労働条件の変更の必要性を認めたものの例として、会社等が合併した場合に、従業員相互間の格差を是正し、単一の就業規則を作成する必要性を認めた事案(大曲市農業協同組合事件 最判昭和63.2.16)や、定年延長に伴う人件費の増大等を抑える必要がある中、従前の定年である55歳以降の賃金水準等を見直す必要性を認めた事案(第四銀行事件 最判 平成9.2.28)があります。

内容の相当性については、労働者の受ける不利益以外の、変更後の就業規則の相当性、経過措置の有無、代償措置その他の労働条件の改善状況、同種事項に対する社会の一般的状況等により、考慮されるものと考えられます。

なお、労働条件変更が労働者の大多数を代表する組合との真剣で公正な交渉による合意を経て行われた場合は、かかる代表的組合との交渉による集団的利益調整を十分考慮に入れて合理性の総合判断を行うべきとする有力な説があります(菅野和夫『労働法(第10版)』)

仮に就業規則の変更の合理性について労働者との間で争いとなり、合理性が否定された場合、その労働者との間では変更前の就業規則による労働条件が存続することになる点に留意が必要です。

3.就業規則によっては変更されない、という個別特約について

就業規則の変更が合理的であったとしても、個別労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、その効力は発生しない点に留意が必要です。(労契法10条但書き)

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