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新型コロナウイルス対策:一時帰休と雇用調整助成金などについて

新型コロナウイルス対策:一時帰休と雇用調整助成金などについて

雇用調整助成金 特例措置の現状について(2021/7/29記載)

コロナ禍における雇用調整助成金(以下、「雇調金」といいます。)の特例措置が開始されて、早くも1年半程が経過しました。その間、雇調金の支給総額は4兆円を超えました。

国としては、雇調金のデメリットとして、雇用の流動性(人の余剰な業界から人の不足している業界への人材のスムーズな移動)阻害も指摘されている事から、特例措置を徐々にでも縮小していきたい考えのようですが、一方で新型コロナの猛威が収まらず、なかなか縮小に舵を切れない、という状況のようです。

さて、現状の雇調金の特例措置について整理します。

■現時点の雇調金の特例措置の概要(2021/7/29現在)※中小企業の場合

・特例措置は2021年9月末まで延長

・特例の原則的取り扱いの助成内容

 ⇒ 支払った休業手当に対し、5分の4を助成(解雇等を行っていなければ10分の9)。1人1日あたり上限13,500円。

業況特例(全国の中小企業が対象)の助成内容

 ⇒ 支払った休業手当に対し、5分の4を助成(解雇等を行っていなければ10分の10)。1人1日あたり上限15,000円

地域にかかる特例(緊急事態宣言、まん延防止等重点措置対象地域の中小企業が対象)の助成内容

 ⇒ 支払った休業手当に対し、5分の4を助成(解雇等を行っていなければ10分の10)。1人1日あたり上限15,000円

■業況特例の対象事業主

 特に業況が厳しい全国の事業主が対象。具体的には、雇調金を申請する対象月(例えば、7/1~7/31の賃金計算期間に対して雇調金を申請する場合、「7月」)から遡って3ヶ月間の生産指標(売上高等)の月平均値(この場合、7月・6月・5月の平均売上高等)と、その前年同期または前々年同期の月平均値を比較して、▲30%以上減少している事業主が対象となります。

 前年同期は既にコロナ禍にありましたので、前年同期は既に売上が減少している企業は多いと思いますが、2年前の売上と比較する事で、要件をクリアする事ができます。

■地域にかかる特例の対象事業主

 コロナ禍において、営業時間の短縮等に協力する事業主が対象となります。具体的には、緊急事態措置またはまん延防止等重点措置の対象区域の都道府県知事による要請等を受けて休業、営業時間の変更、飲食物提供又はカラオケ設備利用の自粛等に協力する事業者です。

 ・東京都の具体的な要請内容はこちらを参照(東京都HPへジャンプします)

 ・神奈川県の具体的な要請内容はこちらを参照(神奈川県HPへジャンプします)

■業況特例、地域特例の双方の要件を満たす場合は「業況特例」にて申請

 上記双方の要件を満たす場合、どちらを用いて申請するか悩まれるかもしれません。適用する特例に応じて、使用する様式や添付資料も変わってきます。

 この場合は、『業況特例』を優先して申請する事となっています。

 なお、業況特例は、最初の申請で売上30%減少の要件を満たせば、基本的に以降の申請時は改めて当該要件を満たす必要はありませんので、特例措置が続いている間は安心して特例申請出来ると言えるでしょう。

 一方、『地域にかかる特例』は、その都度要件に合致していなければ特例適用申請できません。

 従いまして、双方の要件を満たす場合は、基本ルール通り、『業況特例』を用いて申請するべきです。

■2021年9月以降の雇調金特例措置の延長の有無について

 現在のコロナ禍に加えて、2021年10月の最低賃金引き上げ(全国加重平均で時給28円増。過去最大規模)が重なり、中小企業の経営を圧迫しかねない状況であることから、一部報道によると、国は2021年12月までは雇調金の特例措置を延長する方向で検討しているようです。

 延長期限や特例の内容など状況がはっきりしてきましたら、またこちらのページでお知らせしたいと思います。

雇用調整助成金 小規模事業主の簡素化の特例について(2020/5/22記載)

■簡素化特例の対象となる「小規模事業主」とは

 雇用調整助成金は、支給申請の方法がややこしく、使いずらいと言われています。より活用を促すため、2020/5/19に小規模事業主に対して「簡素化特例」が施行されています。

 ここでいう「小規模事業主」とは何かですが、「常時雇用する労働者が概ね20人以下の事業主」とされています。

 また、「常時雇用する労働者」とは何かですが、大まかに言うと、正社員及び正社員と同等の労働時間の労働者(契約社員等)を指します。例えば正社員が週40時間労働している会社であれば、それと同等の労働時間の人をいいます。よって、パートタイマーなどは除いてカウントする事となります。

■簡素化のポイント① → 平均賃金を算定しなくて済むようになった。

 今回簡素化されたポイントとしては、一つ目に助成額を算定する際にこれまで必須だった、「平均賃金額」を算定しなくても良くなった点が挙げられます。これまでは「平均賃金額」を算定するために、前年の労働保険の「確定保険料申告書」で申告した賃金総額を、年間の平均労働者数および、平均所定労働日数で除して算定する必要があったのですが、例えばシフト制を用いる会社の場合、労働日数が人によってまちまちで、どのように計算したら良いか分からなかったり、計算するにしても、過去の記録がなかなか揃わなかったり・・・など、色々と苦労するケースがあります。

 今回の簡素化により、平均賃金によらず、実際に支給した「休業手当」額を基礎とし、これに助成率(10分の9など)を乗じて助成額を算定する事が可能となりました。

■簡素化のポイント② → 休業等規模要件が簡略化された。

 休業等規模要件とは、これまでは中小企業の場合、労働者全体の所定労働延べ日数に対し、休業延べ日数が40分の1以上(特例措置)でなければならない、となっていて、シフト制の場合などは正確に算定するのに苦労する事もあったと思います。

 これを、1ヶ月において「従業員2人あたり1日以上休業したか」に「はい」「いいえ」で答えれば良くなり、やはりかなり簡素化されたと言えます。

■簡素化によらず、原則計算による方が助成額が有利になる場合も。

 もし、簡素化特例によらず、原則計算によって支給申請する場合、既に述べたように、助成額の算定にあたっては「平均賃金額」を基礎とすることになります。この「平均賃金額」に「支払率(60%とか)」を乗じ、更に「助成率(10分の9とか)」を乗じた額が助成額となります。

 ここで、改めて「平均賃金額」とは何かを思い返して頂きたいのですが、前年の確定保険料申告書に記載されている「賃金総額」を基準とするので、例えば「残業代」や「通勤手当」や「賞与」等を支払っている場合、賃金総額にはそれらが含まれている事になります。そのため、算定される「平均賃金額」は、単なる月給の日割額ではなくて、その他の諸手当、賞与等が加味された額、となります。

 したがって、簡素化特例における、休業手当を基礎とした助成額よりも、原則計算による助成額の方が有利に計算される事も生じ得ます。1日あたり助成額が上限である8,330円を超えていれば、どちらも同じとも言えるのですが、しかし国は今後、この助成額を増額する事も明言しています(正式な通達はこれからですが、増額されたら、遡及して増額分が助成される事になると想定されます)。したがいまして、申請にあたっては、そのあたりも検討の上、簡素化特例を活用するか否かを判断されると良いと思います。

 しかし、「とにかくややこしいのは勘弁!」という小規模事業主におかれましては、細かい事は抜きにして、簡素化特例を活用頂ければと思います。

雇用調整助成金 支給申請のポイント(2020/5/18記載)

■休業等規模要件の考え方(雇用保険に加入している人と雇用保険に入っていない人の混在する事業所の場合)

 休業等規模要件とは、全体の労働者のうち、どの程度の割合が休業をしたのかを確認し、支給可否を判断するものです。中小企業の場合、40分の1以上、大企業の場合は30分の1以上の休業が必要となっています(特例措置)。分母は全体の労働者の所定労働日数をすべて積算したもの(所定労働延べ日数)、分子は実際に休業した日数をすべて積算したものとして、割合を算定します。短時間休業の場合は、休業時間数を積算し、所定労働日数で除することにより、日数換算して判断されます。

 さて、事業所に雇用保険に加入している人と加入していない人が混在している場合、休業等規模要件を判定するにあたって、労働者の母集団をどのように捉えるのかが問題となります。そもそもですが、今回の特例措置においては、事業所がコロナウイルスによる影響により休業を行った場合、雇用保険に加入している従業員に支払う休業手当に対しては「雇用調整助成金」で助成を受けることができ、雇用保険に加入していない人については「緊急雇用安定助成金」で助成を受けることができることとなっています。つまり、両者に適用される制度は異なります。

 そこで、休業等規模要件の話に戻りますと、「雇用調整助成金」の申請にあたっては、母集団は「雇用保険被保険者」ととらえて判定することとし、「緊急雇用安定助成金」の申請にあたっては、母集団は「雇用保険に加入していない人(週20時間未満の労働者)」ととらえて判定する、という考え方になります。

 なお、仮に所定労働時間が20時間以上なのに、何らかの理由により雇用保険に加入していない労働者がいる場合はどうすればよいでしょうか。これについては、「緊急雇用安定助成金」で申請することになると考えられます。厚生労働省のQ&Aに「雇用保険被保険者となる労働者を雇用しているにも関わらず未適用だった場合には、適用の手続きをしていただく必要があります。」とあり、新規に資格取得手続きを行う事を前提に、「緊急雇用安定助成金」の対象とする、という考え方に立っていると思われます。

 

■休業手当の支給額算定の考え方について(労基法26条の休業手当との比較)

 雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金を受け取るには、法令を遵守している必要があり、その一つとして、休業中に従業員に支給する休業手当が、労基法の定める最低基準を上回っている必要があります。労基法26条では、事業者の責めに帰す事由による休業の際には、休業手当として「1日の休業につき平均賃金の60%以上」を支給する必要があるとされています。そこで、「うちの会社は休業協定書で賃金の60%を払うとし、実際に払っているから大丈夫」と考えることがあると思いますが、注意が必要な点もあります。

 労基法の「平均賃金」とは簡単にいうと、直近3カ月間の賃金支給総額(通勤手当や各種手当、残業代等を含みます)をその暦日数(大体91日前後)で除して算定します。そしてその額の60%以上を休業手当として支給しなければならないとされています。

 一方、企業で実際に行われている、休業手当算定方法の実務を見ますと、多くの場合、平均賃金の考え方は用いずに、月給制なら月給を所定労働日数で除した額を1日あたりの額とし、時給制なら時給に所定労働時間を乗じた額を1日あたりの額として、これに60%など、休業協定書で定めた支払率を乗じた額を支給するケースが多いと思います。

 この時の注意点は、こうした方法で算定した休業手当額が、上述した労基法26条の休業手当額を下回ってしまう事がある、という点です。例えば、1日あたりの額を算定する際、「基本給」だけを基礎にして、他の様々な手当を除いていたり、あるいは直近3カ月間に残業が多かったなどの事情により、労基法26条の休業手当を下回る場合があります。

 支給申請にあたっては、上記に留意し、既に支給した休業手当が、労基法26条の休業手当を上回っていることを確認の上、進めることをお勧めします。もし下回っていることが判明したら、翌月給与で遡及して支給するなどの対応をとる必要が生じます。

 

雇用調整助成金の特例措置について(2020/5/2記載) ※2020/5/6一部修正

 日々目まぐるしく、雇用調整助成金の特例措置が追加されては、厚労省の実施要領やQ&Aが更新されており、企業から弊所への問い合わせも増加しています。厚労省から様々発表されてはいるものの、細かい取扱いについては、よくわからない点も多く、一方で担当部局である都道府県労働局やハローワークに電話をかけてもまったくかからず、という状況と思います。労働局の担当者の方々も日々奮闘され、本当に大変な状況と思います。その頑張りには頭の下がる思いです。しかし残念ながら助成金ニーズの急増に全く追いついていない、非常に厳しい状況と思います。

 以下にいくつか、助成金申請にあたってのポイントを記載します。労働局への問い合わせが繋がらず、一部確証が持てない部分があったり、取扱いが変更される可能性がありますので、参考程度にご覧いただき、手続きのヒントになればと思います。

 

■緊急対応機関(4月1日~6月30日)においては、計画の事後届出が認められます。

 仮に、賃金計算期間が末日締の場合、判定基礎期間は、例えば4月、5月、6月(いずれも1日~月末)の3カ月となります。従前の特例措置においては、例えば5月の中旬に、上記3か月分の休業計画を届け出る場合、4月、5月は事後申請の扱いであるものの、6月については、事前申請の扱いとなっていました。これが6月も含めて事前申請は不要という扱いになったため、提出書類も一部変更となっています。これにより、この期間においては、従業員代表に対する従業員の委任状(従業員の過半数の署名捺印を要する書類)の提出が不要になると考えられます。

 

■計画届と支給申請が同時に可能となります。

 例えば、上記例の場合、5月に計画届を出す場合は、4月分の給与はすでに確定しているため、4月分の支給申請を計画届と同時に提出可能と考えられます。より素早く受給が可能となります。

 

■休業は飛び石で実施しても大丈夫です。時間短縮による休業も可能です。休業協定書に基づき休業を実施、休業手当の計算を行い、支給する必要があります。

 休業は連続している必要はなく、飛び石でも構いません。また、輪番で従業員の3分の1づつを休業させたり、時間短縮による休業をすることも助成金の対象となり得ます。時間短縮は通常は全社一斉に行う必要がありますが、今回の特例措置においては、ある部門やある業務単位での実施でも助成金の対象となり得ます。

 こうした休業の実施期間、日数、時間短縮の有無、対象者、休業手当の計算方法などを労使と協議し、「休業協定書」として会社、従業員代表双方の合意のもと作成し、休業を実施します。従って、休業手当は休業協定書の記載内容に基づいて算定し、支給する必要があります。また、原則として、通常の賃金と休業手当は明確に区分し、別項目で賃金台帳、給与明細などに記載する必要があります。

 

■助成金支給額の算定基礎となる賃金の考え方について

 助成金の助成率は9割(中小企業であり、かつ解雇を行っていない場合。ただし、上限8,330円/人日)とされています。ここからイメージされるのは、例えば日給10,000円の労働者に対して、8割を休業手当として支給、つまり1日8,000円支払った場合、その9割にあたる7,200円が助成金として支給されるように思われます。しかし、そうではありません。

 助成金の1日あたりの支給額は、前年度の雇用保険被保険者の「賃金総額」を「従業員数(各月の平均人数)× 所定労働日数」で除した額を平均賃金日額とし、これに対して、上記例では8割を乗じ、そこに助成率である9割を乗じた額として算定されます。したがって、仮に前年度の平均賃金日額が例えば9,000円となった場合は、この8割にあたる7,200円に対し、助成率の9割を乗じた6,480円が助成される、ということになります。

 なお、この雇用保険被保険者の賃金総額は、前年度の賃金にかかる「確定保険料申告書(毎年6~7月に行う労働保険年度更新での提出書類です)」に記載される額となります。ただ、今の時期は、まだ昨年度の賃金を基礎とした、労働保険年度更新手続きを行っていない、中途半端な時期です(年度更新は毎年、6月1日から7月10日までの間に行うこととされています)。そのため、前年度の賃金総額をいまから集計して算定するべきなのか、一昨年度の賃金にかかる、前年に提出済の確定保険料申告書の額を用いればよいのか、判断に迷います。この点、後者、つまり昨年提出済である確定保険料申告書の額を用いれば良いだろうと思われます。この点について、厚生労働省のQ&Aでは、「支給事務の迅速化を図りつつ、また、事業主の申請事務の負担軽減を図るため、賃金総額については、労働保険の「確定保険料申告書」の「年間の賃金総額」を引用することとしており・・・」との記載があり、したがって、あくまで既に受理された確定保険料申告書に基づいた額を記載すればよいと思われます。

 

■雇用保険被保険者以外の休業に対する助成について(パート、アルバイト等)

 「雇用調整助成金」は企業が毎年支払っている雇用保険料を財源とした制度であり、休業に対して助成されるのはあくまで原則通り、「雇用保険被保険者」のみとなります。

 しかし今回の特例措置では、雇用保険被保険者に該当しない(労働時間が週20時間未満の労働者である)パート、アルバイトの方も助成の対象となります。そのために「緊急雇用安定助成金」が創設されました。ただし、雇用保険適用事業所であることが原則的な要件であり、そうでない場合であっても労災保険が適用されている必要があります。

 支給要件や手続きの方法は基本的に雇用調整助成金と同様ですが、大きく異なるのは1点、助成金支給額の計算方法です。雇用調整助成金では、上記に記載したとおり、確定保険料申告書に記載された昨年度の平均賃金日額を用いて算定しますが、緊急雇用安定助成金では、実際に支給した休業手当額の総額を算定基礎となった総休業時間数で除し、その額に所定労働時間数を乗じた額を基礎とし、助成率(中小企業の場合は8割。解雇等していなければ9割)を乗じた額が助成されます。

 

 

アルバイトにも休業手当の支給は必要か(2020/4/11記載)

アルバイト雇用では、しばしば、所定労働日が明確に定まっておらず、毎月のシフトで勤務日を決める、という労務管理手法があります。

このシフトを決める際には、アルバイトの各人の出勤希望日をあらかじめヒアリングし、店長が店舗の繁閑などを考慮しながら都度シフトを決める形が良く見受けられます。

この場合、毎月のシフトを決めるまでは、労働日が明確に定まっていない状況と言えます。

今回の新型コロナ対策として、店舗を一定期間休業するような場合、シフトを大幅に縮小あるいは、勤務をゼロとする事で、当該アルバイトに対して休業手当(労基法で定められた、事業主の責任で生じる休業に対して支払い義務が生じる、平均賃金の60%以上の手当)の支払い義務は生じるのでしょうか。

 

①労働契約書で所定労働日数が明記されている場合

 労基法の休業手当は正社員、アルバイト、契約社員等、雇用形態に関わらず、要件を満たせば支給義務が生じます。

 例えば、アルバイトの労働契約書で、労働日数について「週3日勤務」とか、「毎週月、水、金曜に勤務」とある場合、本来の労働させるべき日は明確です。よって、当該労働日に休業を命じる場合、基本的には休業手当を支給する必要が生じる、と言えます(ただし、不可抗力による休業と言える場合には、休業手当の支給義務は生じません。今回の新型コロナ対策のための休業が、この不可抗力に該当し得るかどうかは、また別の機会に論じたいと思います)。

 

②労働契約書には、所定労働日が明記されていない場合

しかし、労働契約書において、「労働日はシフト表による」といった、所定労働日が不明瞭、あいまいな表記がしばしば見受けられます。特に学生アルバイトなどの場合、本人の希望で、試験期間やプライベートの用事などを考慮し、フレキシブルに労働日を決めたい、といった本人のニーズに良くマッチしている、といった事情があるのだと思われます。

こうした場合、シフトが定まっていない以上、休業させても休業手当の支給義務は生じないのではないか、という疑問が生じます。また、実際、休業手当を支給しようとしても、補償すべき一時帰休の日をいつと考えるか、不明確とも言えます。

この点、個別具体的な事情に応じて判断する必要がありますが、書面で所定労働日数を明示していないからといって、一律に休業手当の支給を免れるとは言えないと思われます。

なぜなら、こうしたケースでも労働日数についての黙示の合意が存在している可能性があります。使用者としては(新型コロナの影響がなければ)「この時期はこの位は働いてもらいたい、働かせたい」といった、逆に労働者としては「この位は働かせてもらえるだろう、働きたい」といった思い、期待の存在している場合などが該当し得ます。

 こうした黙示の合意の存否は、争いになった場合には、過去の勤務実績や労使双方の言動などに基づき、最終的には裁判所での判断になると思われます。しかし、これまでの経緯から、そうした黙示の合意が労使間に存在していると考えられるのであれば、トラブル防止のために、労使双方の誠実な話し合いによって、互いに納得できるような休業に対する補償の取り決めをしていくのが望ましいと考えます。

 

 

雇用調整助成金の特例措置(2020/4/11記載)

雇用調整助成金の特例措置として、受給要件が大幅に緩和、また、助成が手厚くなっています。

・通常は事前に計画を提出するところ、事後で可。(2020年6月30日まで)

・売上等の生産指標減少要件 通常 3ヶ月平均で10%以上低下 → 特例 1か月で5%以上低下

・雇用保険被保険者に限らず助成。

・中小企業の場合の助成率 通常2/3 → 特例 9/10(解雇しない場合)

・残業相殺制度(休業手当を支給しても、他の出勤した日に残業等した場合に、助成額から控除される制度)を当面停止

緊急事態という事で、要件や手続きが簡素化され、また助成額も増額されています。

また、正社員に限らず、雇用保険に入っていないパートタイマー等も支給対象となります。

この難局においても雇用維持を図る事業者は、是非活用をご検討下さい。

※詳細は厚生労働省ホームページを確認下さい。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

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